ミュージックセキュリティーズのファンド分析
地方の事業者への出資を実現するクラウドファンディング。手軽かつ、信頼性のある運営元なので、ちょくちょく参加しています。
3月は新規募集のファンドがたくさん出て、非常ににぎわっています。現在募集中のファンドはなんと84本。
<ミュージックセキュリティーズHPより>
サイトを眺めるだけで非常に面白いので、ついつい、色々と見てしまうのですが、ファイナンス的な切り口で旨みのあるファンドを選ぶとどうなるか、ということを考えてみました。
主な要素は、
①出資額、
②償還予定金額、
③投資家特典の効用額、
④左記②・③の受け取りタイミング (運用期間の長さ、配当が決算ごとに行われるか、終了時1括か。)
⑤事業計画の確からしさ、未達リスクの度合い
だと思います。⑤についてはある程度事業者を信じるしかない性質のものだと思いますので、ひとまず置いておきます。実際に出資する際には「事業への共感」も要素としてあって、⑤についてはそこにつながってくると思います。
①~④の要素を整理するには、回収計算書を作成して、NPVとIRRを求めることが有効だと思います。
たとえば、こんな感じ。
NPV算出の際の割引率は年換算で1%程度(無リスクに近い運用で出せそうなパフォーマンス)に設定しました。四半期換算で、だいたい0.25%。
※NPV…時間価値を考慮した期待利益、IRR…NPVが0になる割引率。
投資家特典については、事業者側の言い値ではなく、市場の類似品の相場をある程度参考にした金額にしています。この例の場合だと、お米10kgが特典なので、事業者は5,500円としていますが、一般的な相場として、1kg 400円換算で、4,000円で計算しています。
このファンドの期待値は、NPV 4,584円、IRRは8.8%。
同じ軸で、他のファンドを調べてみました。
IRRで見ると、結構ばらつきがあります。(期待値が良さそうな案件を選んでいるので、どれも悪くない数値ではありますが。)
ポイントとしては、直感的には期間収益率が高い案件が良く見えがちですが、運用期間(≒資金拘束期間)が長い案件は不利、ということがポイントだと思います。
投資基準としては、事業計画達成時のIRRで比較しつつ、多少未達だった場合でも、IRRが最低1%以上になるか、というところかな、と思います。
これまで償還済みの2本のファンドはそれぞれ、IRRが5.38%、16.65%、ということで、良好なリターンです。
クラウドファンディングの醍醐味としては出資を通じた事業への貢献も大きく、リターンのみではないと思いますが、一つ基準があると選択の際に参考になりますね。
1回フォーマットを作ってしまえば、10分くらいで計算できますし、いくつか類似事例が蓄積されてくればだいたいのリターンはすぐにイメージできるようになるので、結構便利です。今後出資する案件を決める際に記録していきたいと思います。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。